
最初に見たのが2ちゃんねるのまとめサイト。みんなのコメントがおもしろい!
『走れメロス』実は走ってないことが中学生の自由研究で明らかになるwwwwwwwwwwwwwww:ハムスター速報
そしてリンク元のねとらぼの記事もチェック。
一般財団法人 理数教育研究所が開催した「算数・数学の自由研究」作品コンクールに入賞した「メロスの全力を検証」(PDF)という研究結果がとても興味深いです。中学2年生の村田一真くんによるこの検証では、太宰治の小説「走れメロス」の記述を頼りにメロスの平均移動速度を算出。その結果、「メロスはまったく全力で走っていない」という考察に行き着きます。端的にいうとメロスは往路は歩いていて、死力を振りしぼって走ったとされる復路後半の奮闘も「ただの早歩きだった」というのです! なんてこった!
「走れメロス」は走っていなかった!? 中学生が「メロスの全力を検証」した結果が見事に徒歩 - ねとらぼ
せっかくオリジナルのレポートをPDFにしたものが読めるみたいなので、さっそくダウンロードして読んでみた。そして、書かれてる内容が正当なのかどうかを検証してみることに。
自由研究としてはよくできてると思ったしだからこそ作品コンクールで入賞したんだろうって思った。けど、一箇所だけ間違っていると思われるところがあった。

橋のない濁流の川を強行突破したが日は既に
西に傾き始めていた。⇒13:00頃と推定
ここの解釈はちょっと無理があるんじゃないかなー。もともとの仮定が夏至のあたりで、日没時間を19:00って仮定してる。それを考えると13:00はまだまだ真昼で日が傾いたって感じはしない。「日は西に傾き始めていた。」を尊重するなら、16:00くらい?まあ、百歩譲っても15:00くらいが妥当だろうと思ったが、後の山賊と出会ったあとの記述で「折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照ってきて」とあるから、さらに譲って14:00くらいにしておく。
14:00から日没19:00までの5時間で20kmを移動するということになる。
普通に歩けば余裕で間に合うやん。。。
その後、山賊に出会ってしまう。ここではタイムロスを30分と推測してるけど、実際はそんなに長くないと思われる。

山賊と出会っていくつかの言葉をかわすけど、それには1分だか2分で終わってしまう。その後もあっという間だ。
走れメロスからこの部分を引用する。
山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。
そのあと、疲労でメロスは倒れてしまう。
四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。
ここでのタイムロスは、元のレポートでも1時間と仮定されている。「まどろんでしまった。」とあるから、1時間くらいは適当なのかもしれない。午前中に雨の中を移動してるし、濁流の川を泳いで渡ってるし、その後で峠を登り詰めて息が上がってるところで山賊と戦ったりして、その後は午後の一番暑い時間帯に峠を一気に下ったりしてるし。疲れて動けなくなってもしかたないかな、とも思える。ちょっと昼寝して疲労回復したって感じだろうか。
だけど、この部分を読み返してみると、重要な事実が浮かび上がってきた。
読む限りでは峠の部分の距離がわからないから、残りの距離がどのくらいあるのかはなんとも言えない。
ただ、倒れた後に目覚めて再び動き始めた時は「斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ」とあるから、日没の1時間くらい前だと思われる。ということは、18:00ごろまでたっぷりと眠ってしまったと考えたほうが妥当だろう。
午前で20kmを移動し、峠を上って下ったところで10kmくらい進んだとしたら、残りが10kmくらいある。目覚めてから刑場までの10kmを走ったとしたら、その描写も適当だと思える。
つまり、早朝に出発してのんびりと歩いて、正午ごろに半分くらいまで到達した。が、橋が壊れてたので濁流の中を泳ぎ切って、さらに峠を上って、さらに山賊と戦って、一気に峠を下って疲れ果てた。そして、倒れて眠ってしまった。
ふと眠りから目が覚めた。水の音が聞こえたので、水を飲んだら元気が出た。
ふと空を見ると、夕焼けで赤い。
メロス「うわー、やっべー!これは走らんと間に合わん!」
残り10km(?)を1時間で走らなければいけなくなってしまったから「走れメロス」ってことになってしまったっぽい。

走れメロス 太宰治 名作選 (角川つばさ文庫 F た 1-1)

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